黄八丈

古くは室町時代、八丈島は白地の絹織物を年貢として納めていたというが、本格的に現在の黄色を主体とする黄八丈の技術が完成したのは江戸時代寛政年間のことという。

黄八丈の特徴的な黄色は、ほかの地方では雑草扱いされるコブナグサ(別名八丈刈安、イネ科の一年草)から取れ、ほかの草木に比べて群を抜いて美しい黄金色を染め出すことができる。

黄八丈を構成する色は黄色の他、黒と樺色である。  黒はシイの木の樹皮の煮汁を使用、樺色はタブの木の樹皮の煮汁で染色され、媒染は黄色と樺色は椿と榊の灰を、黒は泥染で泥に含まれる鉄分を使用している。

いずれの色も、1020回フシ漬け(上記煮汁につけること)を繰り返した後媒染しこの美しい伝統の色を染め上げている。  

 

この展示では、最も特徴的な黄金色を染め出す工程を中心に、黄八丈めゆ工房の山下誉さんのご協力とご指導で撮影させて頂いたものである。

黒色を染める泥染の工程も興味深いものだが、展示スペースの制限から今回は省略することとした。